目  次

 

 

特集・日本マンション学会

福岡大会…………………1

福岡大会の総括報告/メインシンポジウム

第1分科会/第2分科会/第3分科会

第4分科会/ミニシンポジウム

 

委員会だより……………………………3

書籍紹介…………………………………4

事務局通信………………………………4

日本マンション学会

NEWS

LETTER

 
2003年(平成15年)718日 32

発 行  日本マンション学会

事 務 局  113-0033 東京都文京区本郷6-2-9-302

                   編集工房INABA

                   Tel.03-3818-8081 Fax.03-3813-7104

制作・編集  笠 原 秀 樹

印   刷  エーヴィスシステムズ     

 

 


 


特集・日本マンション学会福岡大会

福岡大会の総括報告                       九州支部長・九州女子大学教授 岡 俊江 


 日本マンション学会福岡大会は、2003年4月26日(土)と27日(日)の両日、北九州市八幡西区自由ヶ丘の九州女子大学耕学館で開催された。

 大会実行委員会は松坂徹也弁護士を実行委員長として、九州支部幹事と若手弁護士によって組織され、実行委員会事務局は九州女子大学家政学部人間生活学科住居学研究室においた。

 後援は、福岡県、北九州市、福岡市、(財)マンション管理センター、(財)福岡県建築住宅センター、NPO福岡県マンション管理組合連合会、NPO福岡マンション管理組合連合会の8件、協賛は(社)日本土地家屋調査士会連合会、北九州住宅産業協議会マンション部会、醇建築まちづくり研究所、(株)竹中工務店、福岡県司法書士会、(株)よかネットの6件であった。開催会場の九州女子大学からは、会場と機器、看板等の用具類の無償貸し出しを受けた。

 参加者は、有料(参加費3000円)240人(正会員121人、会員外119人)、無料55人(2日目午後の九州支部主催ミニシンポジウムのみの参加者)、2日間で延べ400人を超え、大盛況であった。26日夜、北九州市小倉北区のステーションホテル小倉で開催した懇親会(会費8000円)も、参加者は103人の盛会であった。

 九州支部は、開催支部の独自企画として、地元のマンション居住者向けに「マンションの居住者と建物の高齢化対策」をテーマとするミニシンポジウムを主催するとともに、本学会の大会として初の試みである資料集を作成した。ミニシンポジウムの趣旨説明・基調講演、パネリストの講演内容に加えて、本学会の高齢化問題の専門家の提言等16編を所収している。

 


メインシンポジウム「建替えの円滑化はマンションの将来をどう変えるのか」    


区分所有法の改正、マンションの建替え円滑化法の創設・施行と、マンション建替えをめぐる環境の変化がある。こうした動きについて、丸山英気会長より、団地型マンションの一括建替え制度等を踏まえ、そもそも区分所有の権利とは何か、改正ごとに強まる団体性についての講演があった。続いて、長谷川洋(国土交通省国土技術政策総合研究所)より、マンションの建替えに向けた合意形成に関するマニュアルと、建替えか修繕かを判断するためのマニュアルについての説明が行われた。

 休憩をはさみ、これらの基調講演を受け、パネルディスカションを行った。戎正晴(弁護士)は「建替えの自由度の強化された分、建替え手続きは強化しなければならない」、その一方では、「建替えだけではなく、管理組合によりマンションの耐用年数をのばす努力が必要である」ことを谷垣千秋(全管連事務局長)が、さらに、「このままでは放置マンションが増加する」ことを松本恭二(高崎健康福祉大学)が指摘した。こうした状態の是正には藤木良明(愛知産業大学)は市場経済原理を踏まえた地球環境問題への取組みと「居住倫理」構築が必要であること、福井秀夫(政策研究大学院)からもさらなる課題が提示された。会場からも多くの質問や課題がよせられた。

趣旨説明は折田泰宏(けやき法律事務所)、司会は齊藤(明海大学)が行った。(齊藤広子)

 


第1分科会「諸外国の団地再生のあり方」                    


 藤本佳子(金蘭短期大学)から,日本で社会的老朽化が注目されている団地をどう再生するかの課題に対し、諸外国の事例を参考にし,さらに日本独自の課題を浮かび上がらせたいという趣旨説明があった。まず鈴木克彦(京都工芸繊維大学)からは,イギリスのサスティナブル・ハウジングの状況の説明があり,その流れによる低層化,用途混合,住民参加等のコミュニティの再生を目標としているイギリスの団地再生の現状が報告された。次に,藤本佳子からイギリス・バーミンガムにおける団地再生の事例報告があり,戦前からの古い団地の修繕策が重要視されていること,賃貸住宅を払い下げたためにおきた所有権問題などが報告された。村上心(椙山女学園大学)からドイツの団地再生の報告があり,基本的に外国事例は当該国の文化・気質が日本と違うので参考にならないと言いながらも,旧東西ドイツの格差,強い借家権,合意形成の困難さ,リノベーションによる改善の現状など,技術的なことに加えて,法制度や税制など社会的な面を踏まえた示唆に富む内容であった。朴恩奎(韓国住宅管理学会)からリモデリングを中心に韓国の団地再生についての報告があった。専用部分のリモデリングは多いが,共用部分の例は少なく,補助策の必要性や促進のための法案が国会で審議されているなど,制度的な整備がまず先決であるようだ。最後の質疑応答からも,所有権や使用権がある中での合意形成にどの国も頭を悩ませている状況が浮き彫りになった。(横田隆司)


第2分科会「マンション行政取組みの動向」                   


「マンション行政取組みの動向」をテーマに、行政担当者をゲストとしてパネルディスカッションを行い、会場が一杯になる盛況ぶりであった。

 メンバーは、飯島正(国交省)、瀧永登(東京都)、森敏彦(福岡市)、上田紀昭(北九州市)、山本育三(関東学院大学)、穐山精吾(全管連)、冨田路昜(住宅公庫)で、適正化法・建替え円滑化法制定後の行政の取組み課題として各パネリストから報告があり、さらに論点をしぼってコミュニティ形成の難しさ・活性化、行政による管理士の活用、ネットワークの形成等について活発な議論を行った。また、会場から、京都市における行政の取組み(全管連谷垣氏)、地域における行政との連携(長崎マンションネットワーク松尾氏)についても貴重な報告があった。(富田路昜)


第3分科会「マンション需要の現状と課題」                   


 「人口減少時代のマンション需要はどうなるか」を解明することを目的としてこの分科会はもたれた。近江から趣旨説明があった後、4人のパネリストからの報告を受け、質疑討論を行った。まず、三宅はマンションの3大都市圏における建設動向、規模水準、需要層について詳細な検討を加えた結果、1983-98年に量的拡大を示したのは非木造アパートとマンションであり、通常世帯用借家需要層と考えられていた29-34歳の持家取得、後期持家需要層のマンション住み替えの増加について報告した。石坂は、首都圏のマンション需要の特性を距離別・規模別に詳細に分析した結果として、現在のマンション需要の人口学的意味と今後の需要の継続がせいぜい10年に過ぎないことを指摘した。多治見は、近畿圏のマンション居住者の特性と一戸建てが取得可能な地域での資産志向との関係を報告した。野口は、札幌圏のマンション事情、特に、雪と高齢者との関係からその独自の性格を報告した。その後、会場の30人ほどの出席者との間で多くの質疑応答がなされた。(近江 隆)


第4分科会「現下のマンション法制の課題と外国法制」              


 わが国では、現在、マンションの維持や建替えに関する法制度が整備されつつある。本分科会では、わが国のマンション法制の現状を踏まえて、諸外国の法制度を比較・検討することにより、その基本的な課題について考察することを目的とした。

本報告では、まず本分科会の趣旨説明(鎌野邦樹)を行い、それに引き続いて個別的にドイツ法(鎌野邦樹)、フランス法(舟橋哲)、アメリカ法(花房博文)、イギリス法(大野武)についての報告を順次行った。そして最後に、横断的な視点から、これら諸外国のマンションの管理組合と専門家の活躍(廣田美久)についての報告を行った。

 これら4カ国の法制度については、次の点を基本的な課題として考察を行った。すなわち、@区分所有建物の維持の方法(集会等における議決権の割合、管理費や修繕積立金、損害保険など)、A共用部分の変更の方法(集会等における議決権の割合、規約における別段の定めなど)、B専有部分の変更の方法(改良、リフォーム、用途変更など)、C災害や事故により建物の一部が損傷・滅失した場合における復旧の方法、D区分所有関係の解消、E建物が損傷・滅失した状態や老朽化した状態のまま管理されない場合における法制上の措置、F管理の主体としての管理組合または管理者のあり方、G管理業者や専門家の役割について考察を行った。

 本分科会の参加者は40名程度であり、上記の報告について数名の会員からいくつかの質問がなされ、学術的な観点から、そして実務的な観点からも活発な議論が行われた。(大野 武)

 


 九州支部主催ミニシンポジウム「分譲マンションにおける居住者と建物の高齢化対策」


 マンションが市民の住宅として一般化し、各都市の主要なコミュニティを形成するまでに定着している今日、住民の高齢化とマンション問題は避けては通れない大きな課題である。その意味でも今回のミニシンポジウムのテーマはまことに時宜を得た内容を含むものであった。岡は基調講演で、福岡がいろいろな意味でマンション高齢化の先進県であることを指摘し、住教育等の重要性などを提案した。斎藤は、マンション管理困難層の増加の問題に触れ、そうしたことを前提にしたライフスタイル開発の必要性を説いた。鎌野は、法制度の整備は必要ではあるが、それよりも法を越えた生活の論理の重要性を訴えた。星川は、建築家としての体験から集住におけるバリアフリー対策の必要性を説き、アイデアを紹介した。瀬渡は、マンションにも防犯上の盲点があることを説明し、居住者の目を外に向けさせること、戸外生活に誘い出すことの大事さを述べた。杉本は、管理組合の立場からコミュニティづくりの難しさと楽しさの両面を話した。会場からの熱心な発言もあった。総じて以下の点が指摘できるだろう。1)高齢化によるマンションの人的、物的、管理面での問題が示された。2)制度的な対応、建築技術的対応、コミュニティ面での対応など今後の目標と課題が整理された。3)高齢者のもっている能力の引き出し、活用の重要性が確認された。特に4)高齢者を交えたマンションの新しいライフスタイルの確立の重要性が共通に認識された意義は大きい。(野口孝博)


 


委員会だより

日韓国際学術シンポジウム        国際交流委員会委員長 藤本佳子 


2003530日(金)韓国太田市庁舎にて、韓国住宅管理学会主催で「日韓住宅管理シンポジウム」が開催され、当学会から会長、丸山英気氏と国際交流委員会委員長、藤本佳子が出席した。禹栄濟会長による基調講演に続き、丸山英気会長による「日本のマンション法の改正」の報告があった。続いて又石大教授、郭仁淑氏による「韓国の共同住宅管理と自治体の役割」の報告、藤本佳子が「日本のマンション管理と自治体の役割」を報告した。そして恵泉大教授、申亨均氏による「自治体のマンション紛争管理の方策」、最後に独国フンボルト大、朴殷炳教授による「独国マンション管理の自治体支援課題」の報告があった。出席は50人を超えた。その後、質疑応答があった。翌日は、太田市の住宅団地の見学を行った。長崎大学経済学部教授、楊 光洙氏の司会、通訳により、無事、韓国住宅管理学会との国際交流を行うことができたことをここに報告する。今後、ますます韓国住宅管理学会との交流を深めたいものである。


本年度の活動計画              総務委員会委員長 山森芳郎  


(1) 活動計画

 理事会・常務理事会では、例年通り常務について審議し実行する。今年度も引き続き会員の増大に努め、マンション学の発行回数を増やす等、学術研究の実が上がる体制を工夫していきたい。また来年度の役員改選に向けて、役員選任のあり方について引き続き検討する。

 総務委員会では、定期委員会の開催、総会・理事会議事録の作成、会員管理、会計処理、支部管理、広報活動(ニュースレターの発行・インターネットホームページ・チェック)、本部事業活動支援(@東京支部との共催によるマンション管理実務連続講座、A関西支部との共催によるマンション管理連続講座、B同マンション管理実務講座(中級)=一部事業は6月1日時点で完了している)、学会功労賞規定の検討、学会を活性化するための役員選出規約の改正案とりまとめ、次期役員・委員改選手続き等を行う。

 ニュースレターについては、No313月:大会案内号)、No327月:大会報告号)、No3310月:大会学術報告号)、No3012月:大会予告号)の各号を発行済もしくは発行予定である。ホームページについては、引き続き最新情報への更新および内容の充実を図る。

 (2)  一般会計予算

[収入の部]の論点 @正会員50名(昨年度実績98名)、賛助会員を5団体拡大する。A受託研究費からの寄付(50万円程度)を予定する。B当面会費の値上げはしない。

[支出の部]の論点 @助成する研究委員会は当面7程度に抑える。A支部活動費も、当面従来通りとするが、今後、東京支部等会員数の多い支部に対して増額の可能性を探る。中国・四国支部等新規支部の立ち上げが間近かと思われるが、とりあえず今回は予算には計上しない。B『マンション学』は年3回発行体制へ移行することとし、編集費もこれに対応させる。C昨年度と同様、単年度では赤字予算となるので、極力経費の節減につとめる。

(3) 来年度大会開催地

来年度開催地は関東学院大学、開催日は4月2425日、実行委員長は山本育三氏の予定である。


書籍紹介


ミニシンポジウム「マンションの居住者と建物の高齢化対策」資料集        


日本マンション学会九州支部編

体裁   90ページ

頒布価格 1000円:送料(1390円)と振込手数料は申込者負担

問合せ先 2003jicl@kwuc.ac.jp 日本マンション学会九州支部資料集係   

 「福岡大会の総括報告」で紹介されているとおり、ミニシンポジウムの趣旨説明・基調講演、パネリストの講演内容に加えて、本学会の高齢化問題の専門家の提言等16編を所収した、まさにマンション学会の「知」を結集して作成された資料集である。

●巻頭言:松坂徹也(実行委員長・弁護士)/近江隆(学術委員長・東北大学大学院教授)

●趣旨説明:岡俊江(九州女子大学教授)「マンションの居住者と建物の高齢化対策」

基調講演:岡俊江(前出)「分譲マンションにおける居住者と建物の高齢化対策の実態-全国の管理組合団体と福岡県の管理組合の実態調査から」

●パネルディスカッション:齊藤広子(明海大学助教授)「マンションの高齢化−居住者の高齢化による管理参加困難層の存在とそれへの対応−」/鎌野邦樹(千葉大学教授)「マンション法制の整備と高齢者対策」/星川晃二郎(汎建築研究所代表)「マンションの建物と居住者の高齢化対策−バリアフリー化に際しての問題点と対策法−」/ 瀬渡章子(奈良女子大学助教授)「マンションの防犯対策はどこまで進んだのか−日常の防犯対策と改修時の防犯対策−」/杉本典夫(NPO福岡マンション管理組合連合会理事長)「福岡都市圏の管理組合の高齢化対策」

●専門家の提言:三宅醇(豊橋技術科学大学教授)「後期高齢社会到来とどう向き合うか」/梶浦恒男(平安女学院大学教授)「マンションの高齢化と対策」/小林秀樹(千葉大学助教授)「地域定住ハウジング構想」/山本育三(関東学院大学教授)「高齢者居住のための施設改善指針-大規模団地型マンションの事例から」/延藤安弘(NPOまちの縁側育くみ隊代表理事)「団地型マンション再生の未蕾(みらい)」/馬場昌子(関西大学講師)「Aマンションの高齢化への取り組み」/ 山田龍雄((株)よかネット代表取締役)「家の引き継ぎ問題からみた分譲マンション未来予想」/千代崎一夫(住まいとまちづくりコープ代表)「長持ちマンションのためのプログラムを一緒にデザインしましょう」/ 山岸豪敏(リオン)・大鶴徹(大分大学教授)「マンションの建物と音環境の高齢者対策−コミュニケーションの提案−」/龍有二(北九州市立大学教授)「熱環境および空気環境からみたマンションの高齢化対策」


事務局通信

 


■会員の動向200336日〜714日)会員数 正会員:655人 賛助会員:23法人 

【新入会員】

渡辺滋樹、伊藤 寛、賀澤勝利、中島 宏、藤巻 梓、高尾 進、牧浦康男、北川亮一、赤木進美、玉田明代、田村 浩、前田隆雄、田上秀雄、新木隆司、重松秀士、新庄正章、成谷幸雄、佐田元眞己、佐藤晃男、井手勝利、岡田安弘、東原良行、川端幸雄、戸川幹夫、山本光眞、岡 洋二、谷村 元、大越雅也、原 和也、高森八四郎、井上正司、梶原一康、遠藤道代、鉄川 昭、水谷文彦、石川貴康、若泉 栄、北井秀夫、寿崎かすみ、戸田聡子、長 宏行、山本博久、成清一誠、樋口繁樹、新井弘二、上嶋法雄、石井克和、山戸 高、中野敬偉子、北山昭生、佐藤信一郎、島谷康史、西野洋介、佐藤益弘、野田隆昭、鷲巣洋一、金 亨彦、松村邦彦、樋村恭一、野元久義、野口初治、仲松高輝、株式会社ダイワサービス(以上63名 うち賛助1)

 

【退会者】

矢内國雄、芳住邦雄、上野 亮、杉原貞男、近藤嘉昭、坂口勝彦、富国重道、谷 康夫、藤田 毅、山下良二、

松浦由幸、和田裕行、ECR、大京管理梶Aフドウ建研梶Aシーエムネット株式会社

(以上16名 うち賛助3)

 

■会費納入について

☆2003年度の年会費の納入をお忘れなく!

 また、複数年未納となっている方は至急納入して下さい。

〔振込先〕

@      郵便振替  00170-5-358462 

日本マンション学会経理部

A      りそな銀行 本郷支店 普通 1329738 

日本マンション学会 近江隆


以上