V マンション管理士資格について                         

Q3−1:マンション管理士資格取得の動機(複数回答)

 動機については「取得前は管理業務を行っていなかったが新たに管理業務を行いたいと考えた」が32.0%ともっとも多かった。「その他」の割合も高く、そのうち多かったのはデベロッパーや賃貸マンションの管理などを行っており、マンション管理に関する知識を増やしたかったという回答であった。

Q3−2:マンション管理士資格取得の効果(複数回答)

 資格取得の効果としては「知識が増えた」が約7割、ついで多かったのは「特に効果はない」の約3割であった。「新しく事業を始めた」や「新しい顧客を得た」などの割合は低く、仕事上の新たな展開への効果があったと考えているマンション管理士は少ないと言える。

Q3−3:資格の認知度

 「管理関係者内部では認知されている」がもっとも多く67.1%で、次に「まったく認知されていない」が23.2%となり、社会的な認知度は低いと考えているマンション管理士が多いことが分かった。

W マンション管理に関する教育、知識の習得について                

Q4−1−A:マンション管理に関する知識をどのように得てきたか(複数回答)

 マンション管理に関する知識をどのような形で得てきたかという問いに対しては「書籍の情報で学んだ」が8割近く、次に「就職後、経験により学んだ」が46.0%と高い割合となった。

Q4−1−B:大学などでの専門分野

 大学などの高等教育機関での専門分野を見ると「法学」が40.0%、ついで「建築学」33.5%、「経済学」10.2%、「経営学」8.4%という結果となった。

 

Q4−1−C:セミナーの主催機関 (複数回答)

 参加したことのあるセミナーの主催機関としては、「マンション管理センター」が61.0%でもっとも多かった。「その他」には、地元のマンション管理士会などの回答があった。

Q4−2:知識習得の必要性

現在マンション管理について新たに知識を習得する必要を感じるかどうか聞いたところ、91.9%が「必要を感じる」と答えており、「必要を感じない」の8.1%と比べ、必要を感じているマンション管理士が圧倒的に多いことが分かった。

 

 

Q4−3:習得が必要と考える知識の分野(複数回答)

 必要と考える知識の分野を詳しく見ると「建築設備」が67.0%、「建築一般」が54.1%と、建築分野の割合が高かった。法律分野では「マンション関連法規」が44.0%で高く、他の分野では「経理」「税務」が34%前後、「マンションのIT化に関する技術」「コーディネート、合意形成の技術」がそれぞれ約30%となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

X マンション管理士がつくる団体や他の専門家との関係について     

Q5−1−A:管理士会への入会

 マンション管理士会への入会の有無については「入っている」が47.7%、「あることは知っているが、入っていない」が41.9%で、全体のほぼ半分は管理士会に入会していることが分かった。ただし、「管理士会があるかどうか知らない」という人が8.5%あり、管理士会の存在そのものが、まだあまり認知されていないことがうかがえる。

 

Q5−1−B:管理士会の種類

 入会している管理士会の種類では「都道府県単位の管理士会」がもっとも多く8割近くとなった。また、「全国単位の管理士会」とあるが、いくつかの都道府県をまたいで組織されているものを想定して回答している人が多かった。

 

Q5−2:管理士会以外の団体への所属

 管理士会以外の団体への所属については、8割以上が「所属していない」という結果であった。「所属している」という中には、マンション学会や他業種の業者団体などの回答があった。

 

 

 

 

Q5−3:他の専門家との協力

 マンション管理業務に関して、他の専門家と協力しているかどうかという問いには、36.6%が「協力している」と回答した。

 

Q5−4:協力している専門家の保有資格(複数回答)

 Q5−3のマンション管理業務に関して他の専門家と協力しているという回答者に、協力している相手の専門家の保有資格を尋ねたところ、「建築士」の割合がもっとも高く76.8%、以下「弁護士」52.6%、「司法書士」36.1%、「税理士」「管理業務主任者」「宅地建物取引主任者」がそれぞれ約30%、となった。また各種インテリア関連資格は5%以下の低い割合にとどまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Y マンションに対する公的施策について                 

Q6−1 マンションに対する公的施策についての意見

 マンションに対する公的施策が必要であると考える理由を8つあげて、それぞれについてどう思うか回答してもらった。「そう思う」の割合が高かったものとしては「社会問題防止の面」から必要であるという項目が80.4%、「消費者保護の面」からが63.4%、「良ストック形成面」からが59.9%などとなった。逆に「そう思わない」ものとしては、「都市住宅地の構成部分の面」から必要であるという項目が43.8%でもっとも高く、他に「土地の高度利用・不燃化の推進面」からが25.0%、「集団性への支援の面」からと「コミュニティ育成の面」からがともに22.1%で高かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Z マンション管理の今後のあり方、問題点について           

Q7−1:管理者となり、理事長代理になることについての意向

マンション管理士が管理者となり、管理組合の理事長の代わりに管理についての全ての権限および責任を持つことについての意向を聞いた。「積極的に引き受けたい」が18.4%、「必要が生じたら引き受けたい」が44.1%、「どちらともいえない」が10.5%、「あまり引き受けないほうがよい」が20.5%となった。残り6.5%は「その他」で、その多くは「管理士の業務はあくまでも管理組合に対する支援と助言にとどめるべき」「リゾートマンションなどやむを得ない場合以外は望ましくない」などの反対意見だった。

 

 

Q7−2:高齢居住者からの委任を受けることについての意見

最後に高齢などの理由で管理組合活動に参加できなくなった居住者が管理士に委任することについて意見を求めた。これに対しては、成年後見制度の活用や管理規約の整備、委任の内容などの条件を付けたものを含め「賛成」が約6割、「どちらともいえない」が15.2%、「反対」が25.0%という結果となった。「賛成」意見の多くは「これこそ管理士の業務である」というもので積極的に引き受けていきたいという人が多かった。一方「反対」意見では「委任は居住者の自主性を損ねる」というものが多かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まとめ                                            

以上の調査結果を、簡単にまとめておきたい。

まず一点は、社会のみならず、管理士自身にも「管理士の職業像」が見えていないのではないかということである。前章で述べたように、マンション管理士の業務のあり方をめぐって、同じ管理士間でも見解にくいちがいがある。特に、マンション管理適正化法にいう助言、指導その他の援助とは具体的にどこまでを指すのかという理解に混乱が見られる。その理由として、マンション管理士資格取得者の中に、業種やマンション居住歴などのバックグラウンドや目的意識が異なるいくつかのグループが存在するということがあげられる。資格取得の動機からだけ見ても、独立開業したい人、ボランティアとしてNPOや行政での相談員業務を行いたい人、管理会社や不動産会社での現在の業務に役立てたい人の3つのタイプが存在する。もう一つの理由として、マンション管理適正化法における管理士業務の定義の曖昧さがあげられよう。一部管理士会では、業務標準を作る動きもあるという。個人の目的意識が異なることは問題ではないが、業として何らかの業務標準は必要であり、慎重に議論を進めるべきであろう。

二点目に、実践的な学習の機会を作っていくことが必要である。管理士自身も知識習得の必要性を感じており、苦手な業務や需要の高い業務を中心とするセミナーカリキュラムを組む、管理士会等における実務研修の場を増やすなどの対策が考えられる。

以上の点を踏まえ、マンション管理士の活用と職能の確立に向けて、今後管理士会の活動にかかる期待は大きなものとならざるを得ない。地域に根ざした実践的なセミナーの開催や専門分野の異なる管理士同士のネットワークづくりはもとより、行政との連携を図る上でも、管理士会の活動が重要な鍵となろう。前述のとおり管理士としてのバックグラウンドや目的意識が異なる場合があり、組織化が難しいという声もあるが、「よりよいマンション管理のために」という大目的を念頭に、協力体制を作っていくことが求められている。

 

 

 

 最後になりましたが、ご多忙中にもかかわらず快くご協力くださいましたマンション管理士の皆様、ほんとうにありがとうございました。特に自由記入で回答していただいた皆様のご意見は、よりよいマンション管理への情熱に満ちたものばかりで、大変参考になりました。心から感謝申し上げます。