平成16年11月16日

 

 

    各 位

 

 

日本マンション学会

行政取組み研究委員会

委員長 穐山精吾

 

 

 

 

マンション管理適正化法に関する見直しについて

 

 平素より分譲マンションの管理に関る種々の取り組みにつき敬意を表する次第です。

 当研究委員会は日本マンション学会の一研究委員会ですが、学会でマンションの諸問題について学問的に或いは実践的に研究を重ねている中で、行政に関するマンションにかかわる諸問題についての研究を担当しております。

 さて、行政が関わるマンション問題は平成13年8月に施行された「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」(以下「適正化法」という。)により各種施策に取り組まれているところですが、同法が施行後3年を経過し、国土交通省が同法附則第8条による見直しを行なうにあたり、当研究委員会も適正化法の施行状況を検証することといたしました。

 このたび約1年にわたる検証と検討の結果を別紙のとおり提案書としてまとめたところですが、各界及びマンション問題に携わる方々に当提案書を参考に供していただければ幸いです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

平成16年11月16日

 

 

マンション管理適正化法に関する見直しについての提案書

 

  日本マンション学会

行政取組み研究委員会

 

はじめに

平成13年8月に施行された「マンションの管理の適正化の推進に関する法律(以下「適正化法」という。)はマンション管理の世界にさまざまな影響を与えてきた。

この適正化法は法制定時の附則第8条において「法施行後3年を経過した場合において施行状況について検討を加え必要な措置を講ずる」とされている。

今般、日本マンション学会行政取組み研究委員会では、制定後3年間のマンション管理の現状を把握した上、さまざまな角度から検討すべき事項を洗い出し、適正化法見直しの提言を取りまとめたところである。

なお、本提言は日本マンション学会を代表して行うものではなく、行政取組み研究委員会がワーキング部会を設けて調査検討し、その検討内容をもとに一つの研究委員会の意見として提案するものである。

 

1 基本的事項

 マンション管理に対する関心は、マンションストック数の急増、さまざまな日常管理や建物の維持保全に関するトラブル、老朽マンションの建替え、さらにはマンション管理士や管理会社の登録の法制化など、社会的にも急速に高まっている。その一方で、当事者である建物の区分所有者の無関心さはなかなか改善されず、依然として無管理状態となっているものも少なくない。

 このような時代背景から、マンションが抱える問題が浮き彫りにされつつあるものの、その解決策については充分な検討と実証がなされたとはいい切れない。今後は、マンション問題を総論としてではなく、個々の現場で実際にどう個別具体的に救済していくかを検証し、実践していく必要があると考える。

 一方、区分所有者の高齢化や少子化と同時並行的に進行している建物の老朽化、ほとんど経験がない超高層マンションの大規模な維持保全や建替え、また、建築基準法等が改正される度に増加する既存不適格となる数多くのマンションなど、今後の喫緊の課題となる多くの問題について、その可能性、危険性等を十分に考慮した対策を社会的に整備しなければならない。

 

これらの課題の多くは、管理組合の努力だけで解決することは困難であり、国や地方公共団体の支援が強く求められるところである。例えば、国による再生技術の開発や地方公共団体による財政支援、また、住宅金融公庫やマンション管理適正化推進センター等におけるさまざまな制度支援を行うことにより、ストックの質の向上に加えてマンションを都市活性化の核とした都市再生を実現していくことが求められる。

以下に、適正化法条文に沿って検討し見直すことが必要と考えられる事項を述べる。

 

2 第1条(目的)

 (1)マンション分譲業者の義務を追加

 マンション管理の初動期において管理組合の設立や活動が困難なのは、購入者が建物や管理の状況を十分に把握できないままスタートせざるを得ないことが大きな原因である。現状では、竣工前に分譲業者が用意した書面に合意することで形式的に管理組合が成立し、管理を開始したことになる。その一方、購入したばかりの状態で不慣れな区分所有者が速やかに管理組合を設立し、管理会社、分譲業者とのさまざまな交渉や、理事会、総会などを滞りなく行うのは困難である。

 そこで、管理組合活動を軌道に乗せるために、建築物の性能や当面どういう管理が必要になるか、その他一般的な管理のノウハウなどについて必要な情報を持っている分譲業者が責任を持って管理組合に提供し、適正な管理をスタートさせられるかが大きなポイントと考える。

 例えば、建物の引渡し直後に「真の区分所有者は誰であるか」という情報は管理組合立ち上げには必須であり、これを知る立場にあるのは売り主だけであるため、プライバシーに配慮しつつ、誰が構成員かを管理組合にしっかり引き継ぐことが必要である。さらに、管理組合成立時に分譲業者から管理組合に必用な書類すべてが引き渡されたことをマンション管理士が立ち会って確認することなどにより管理組合を主体とした管理のスタートを確実なものとすることができる。

 なお、分譲後の公平性の確保は、区分所有法(第30条)において規約の適正化に関する規定が新設されたが、分譲会社が原始管理規約をセット販売している現状では、当該分譲会社の負うべき責任は極めて大きい。そのため、分譲会社や特定の区分所有者などに有利となる原始規約を規制すべく、マンション管理士が規約案の段階で確認するなどの担保が必要であると考える。

 (2)再生の推進を明文化

 マンション問題の多様化に対して、個々のマンションの課題について具体的な複数の再生手法等による解決策を明示していくことが必要と考える。例えば、大規模改修か建替えかの検討をする際に、そのマンションと同時期に建設されたマンションの材料や仕様、工法などを把握し、その供給年代の建物にマッチしたさまざまな改修手法やコスト、その他必要情報を体系的に整理・提供することにより、管理組合が検討や判断に際して活用でき、主体的なマンション再生の推進を期待することができる。

 これをより具体的に実現していくため、「マンション再生法」の制定なども検討が必要と考える。

■条文変更例

第一条 この法律は、土地利用の高度化の進展その他国民の住生活を取り巻く環境の変化に伴い、多数の区分所有者が居住するマンションの重要性が増大していることにかんがみ、マンション管理士の資格を定め、マンション管理業者の登録制度を実施し、また、@マンション分譲業者の分譲時における適切な管理への誘導を促進するマンションの管理の適正化を推進するための措置を講ずることにより、マンションにおける良好な居住環境の確保A並びにマンション再生の推進等を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

 

3 第4条(管理組合等の努力)

 マンション管理の適正化のためには管理組合の努力が最も必要とされ、その一例として、「管理組合によるマンション管理に関するさまざまな情報の収集」が挙げられる。この場合、地域の管理組合どうしが情報交流を行うことや管理組合団体等へ参加するなど広く周辺や全体の状況を把握し、自分のマンションに合致した管理手法を模索することは管理の適正化に有効である。

 また、近年、既存住宅の管理に関する情報の評価が重視されている。管理組合が自ら管理に関する情報の公開について努力することにより、良質ストックとして適正評価や流通促進が期待される。

 なお、近年、さまざまな情報について相反する「公開」と「保護」のそれぞれの重要性が指摘されている。マンション管理においては、区分所有法における利害関係人への情報開示義務や、宅建業法における重要事項説明などがあるが、実際には管理組合や管理会社が保有する情報をどう取り扱うべきなのかが不明な点も多い。一方で管理の適正評価として「開示されるべき情報」があり、その一方では「保護されるべき情報」にもなり得るのである。これらの情報が開示されることはややもすれば個人情報に関するトラブルや財産権の侵害を引き起こす。管理組合自体で情報の取扱いを決めるのは難しく、開示する場合においても合意形成がどこまで求められるのか、どのような手続きが必要かなどよくわからないのが現状である。現在検討されている履歴情報の登録などと併せて、国による「マンション管理に関する情報の取扱いのガイドライン」の策定が求められる。

■条文変更例

 第4条に次の二つの内容を加える。

   管理組合は、適正管理を行うために地方公共団体等が主催するマンション管理に関するセミナーへの参加や地域の管理組合どうしの情報交流等により的確な情報の収集に努めなければならない。

   管理組合は、マンションの管理に関する情報の公開に努めなければならない。

 

4 第40条(信用失墜行為の禁止)

マンション問題に対して管理組合、区分所有者の努力は不可欠である。しかしながら、法律、建築、設備等の専門家ではない普通の区分所有者にとって、その専門性を必要とするマンション管理に精通することは容易ではなく、また、多くの時間と労力を費やすことは困難であり、信頼のおける専門的知識を持った者の支援が期待されるところである。

さらに、喫緊な社会的問題としての少子高齢化や賃貸化によるマンパワーの不足、またさまざまなトラブルの発生や防犯、防災等、すべてを区分所有者が努力するだけでは解決できないものも多い。これらへの現実的な対応として外部専門家の活用や、管理者方式への変更あるいは地域社会における協力体制なども社会的支援システムとして構築しておく必要もある。

このような状況からマンション管理士に対する期待は大きく、その責務は今後のマンション管理政策において非常に重要な鍵を握る。

 一方、マンション管理士は、管理組合に対し助言指導を業として行うものと定義されており、法遵守等による客観的中立性は求められるものの、管理組合を支援する立場の者であることには違いはない。これに対し、利益相反となる企業に属するマンション管理士の場合は、当該管理士が行う指導や助言が管理組合にとって不利益なものとなる可能性も否定できない。そのため、第40条の「信用失墜行為の禁止」は社会的信用はもとより、当然のことながら個別のマンションに関わる者としての忠実義務についても明確にしておく必要があると考える。

 

■条文変更例

次の内容を条文に付加する。

  マンション管理士は管理組合の信頼に応えるため最善の努力をしなければならない。

  マンション管理士は管理組合の利益を不当に侵害してはならない。

 

5 マンション管理業(第2条関係)

適正化法の管理業に関する規定は、宅建業法における宅建業の規定と類似性を有するが、宅建業法は「購入時点における取引きの適正化」という一時的な場面での規制や保護を目的としているのに対し、適正化法は継続的な「管理の適正化」として管理会社に関する規定を定めているところである。マンションの適正な管理を続けていくためには、管理組合の相当の努力は当然であるが、管理会社に対してもトラブル防止のための最小限の規制強化が必要である。この場合において、規制ばかりを厳しくすれば小規模ながら良心的な管理を行っている管理会社を淘汰する危険性もあるので、実態の把握に基づき適切な基準を検討することが必要である。一例として、等価交換が原因となるトラブルを回避するためには下記のような手当も必要と考える。

 

■条文変更例:( )内を削除

第二条

七 マンション管理業 管理組合から委託を受けて管理事務を行う行為で業として行うもの(マンションの区分所有者等が当該マンションについて行うものを除く。)をいう。

 

 なお、「基幹事務を部分的に受託する場合も登録が必要」とする見直し案も論議したが、会計業務のみ委託した場合の会計事務所などにも管理業の登録が必要となるため、現実には困難であるとして現行どおりとした。

 

6 分譲業者に関する義務(103条関係)

 適正化法第103条は「設計に関する図書の交付」を定めているが、管理初期段階における関係書類の適正な引継の意義は極めて大きい。このため、分譲業者から管理組合への引き継ぎは「設計及び建築並びに維持管理に関する図書」とすることが必要であると考える。

 なお、書類は「引渡し」に加え「保管」が重要となるが、書類の保管場所が無く紛失するケースも多い。これを防止するためには、保管場所として倉庫や管理室、集会室などを充実することが考えられるが、これらは管理組合活動の活動拠点そのものであるため、設置の義務化や容積率からの除外などの措置が必要と考える。

さらに、適正化法の引渡義務は法施行後の新規分譲だけが対象とされているが、既に築年数を重ねたマンション、特にトラブルを抱えやすい高経年マンションにおいても、可能な限り書類の引渡しを行うことを求めたい。

 

■条文変更例 

適正化法

第五条(略)

2 分譲会社は、マンションを建設するに当たり、管理室、集会室及び倉庫など適正な管理を行うために必要となる施設の設置を行うよう努めなければならない。

 

 (設計図書の交付等)

第百三条 宅地建物取引業者(中略)は、(中略)当該建物又はその附属施設の設計及び建設並びに維持管理に関する図書で国土交通省令で定めるものを交付しなければならない。

 

附 則

本法律の施行前に建設されたマンションのうち、第百三条に定める設計図書等について宅地建物取引業者による交付が可能な場合は同条の定めに準じて交付しなければならない。

 

適正化法施行規則

 (法第百三条第一項の国土交通省令で定める図書)

第百二条 法第百三条第一項の国土交通省令で定める図書は、次の各号に掲げる、同項の建物及びその附属施設(駐車場、公園、緑地及び広場並びに電気設備及び機械設備を含む。)に係る建設及び維持管理に関する図書とする。

 一 設計に関する図書(竣工時点で変更がある場合は当該変更を反映したもの) 

  @〜J (略)

 二 施工図

  @ 躯体図

  A 平面詳細図及び展開図

  B 設備配管・給排気・空調設備詳細図・電気設備図

 三 打ち合わせ記録

  @ 標準仕様書・特記仕様書に関する記録

  A 変更事項に関する記録等

 四 その他管理組合が維持管理を行う上で重要となる書類

  @ 区分所有者名簿

  A 各種協定書

  B 各種保証書

  D 開発行為許可関係書類

  E 建築確認関係書類

  F 建築・EV確認申請済書、中間検査、完了検査証等

  G 給排水衛生関係(水質検査書・簡易専用水道設置届・合併処理概要書等)

  H 電気関係(建物一部使用貸借契約書・土地使用契約書、電気設備設置届書等)

  I 住宅の品質確保等の促進等に関する法律(設計・建築)評価書、(共用部分)

  J 住宅金融公庫関係書類

  K 工事請負契約書(写:共用部分に関する数量・単価等)

  L 取扱い・保証書関係(防水・植栽保証書、化学物質測定記録、地質調査報告書、試験成績書等(杭工事施工報告書、コンクリート圧縮試験成績書等、タイル引っ張り試験報告書、建築・電気・空調・給排水・EV・機械式駐車場)

  M 権利関係を証する書類(官民査定書、民民境界確認書、規約公正証書)

  N 点検記録簿等

2 前項に掲げる設計に関する図書については、共用部分・専有部分を明確に図面に示すこと。

3 第一項に掲げる図書の引渡しを行うときは、引渡しを行う図書目録を作成し、宅地建物取引業者及び管理組合双方の記名押印を付すこと。

4 第一項に定める図書の引渡しを行う際に、宅地建物取引業者から管理組合に名義を変更する必要のある図書は必ず変更を行うこと。

 

▼コメント

@ 建築基準法等の度々の改正に伴い、それぞれのマンションがどの時代のどういう基準に基づいて建設されたのかが分かりにくい。増改築や改修、あるいは建替えの判断材料となるのが確認申請書類や確認済証であるが、管理者に保管義務はなく、分譲会社(建築主)から引き渡されないことも多い。近年、特に法令が複雑になり、これらの書類がない場合はますます判断が困難となっている。また、依然として瑕疵問題等も存在することから、それらを確認できる申請書類は建物の管理者が保管すべきであると考える。

A 維持管理においては設計図書のみではなく、協定書なども重要である。建設時の近隣協定などを巡って入居後にトラブルになることも多く、管理組合に適切に引き継がれる仕組みが必要である。

B 管理室や集会室、倉庫などは管理組合活動の基盤であり、その設置が必須であるにもかかわらず、小規模マンションなどではコストの上昇などの理由から設置されないことも多い。このようなマンションに対しては、管理組合に過度の負担がかかることがないように、地域の公民館を利用しやすいようにするなど配慮が必要である。

 

7 適正化指針

管理組合はマンションの適正管理を行うため各区分所有者の役割分担の下で適正な管理の努力が求められ、区分所有者の属性、財産基盤など考慮しつつ、高齢化対策等を含めた良好な住環境を作るよう努めなければならない。さらに、マンションの管理運営は、建物の長期修繕計画と同様に長期的なビジョンに立った意識に基づく計画が重要であり、これらを適正化指針見直しの重要ポイント「管理運営の中期計画」として盛り込むことを提言するところである。

しかし、区分所有によるマンション管理は、依然として利害関係がからむ多数の者による合意形成の困難さという課題が残る。このような状況に対応していくためには、管理組合の自らの努力に加え、マンション管理を支援する社会的システムが機能していくことを期待するところである。

例えば、本法によって誕生したマンション管理士の立場をより明確にするとともに、マンパワーの少ないマンションでは管理組合がマンション管理士に管理者を委任しやすい環境を整備するなどの措置も必要となる。

さらに、国及び地方公共団体等における相談体制や情報提供、財政上の支援などの整備・支援が望まれる。

 以下に、適正化指針の見直しが必要と思われる部分を示す。

 

  適正化指針変更例

マンションの管理の適正化に関する指針

 (中略)

 このような状況の中で、我が国における国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与するためには、管理組合によるマンションの適正な管理が行われることが重要である。

マンションは私有財産の集合体であり、その管理はあくまでも区分所有者等の自助努力で行うことが基本であり、マンションの区分所有者等は、適切な役割分担のもとで、マンション管理士その他の専門家を適宜活用し、積極的に管理の円滑化に努力することが必要である。

しかし、マンションが区分所有形態という区分所有者が容易に管理を行うことができない環境下にあることから、国及び地方公共団体等は緊密に連携して相談体制の整備、情報提供等に積極的に努めるとともに、適切に財政上の支援その他の多様な支援を行うこととする。

 (以下略)

 

一 (略)

ニ マンションの管理の適正化の推進のために管理組合が留意すべき基本的事項

 1 管理組合の初動期における取組み

管理組合の運営は、特にその初動期において、区分所有者等の管理に関する知識の向上に努めるとともに、各区分所有者等の意向把握を十分に行うよう努める必要がある。

  管理組合の運営

  (略)

  管理規約

  (略)

  共用部分の範囲及び管理費用の明確化

  (略)

  管理組合の会計

 (中略)

また、管理組合の管理者等は、必要な帳票類を作成してこれを保管するとともに、マンションの区分所有者等の請求があった時は、これを速やかに開示することにより、経理の透明性を確保する必要がある。

さらに、収納方式にあっては、原則、収納代行、支払い一任と方法はあるが、自己の財産は自ら管理するとの意識を持ち極力原則方式とすることが望ましい。

 6 管理運営の中長期的計画の策定

管理運営の中長期的計画の策定の検討に当たっては、検討内容の区分所有者向けの情報提供の徹底による透明性の確保に努めるとともに、高齢者世帯等に配慮した計画の作成に留意する必要がある。

また、中長期計画の策定に当たっては、区分所有者の属性、資金力等を総合的に考慮し、適切な計画とすること。

さらに、マンションの改善工事について、耐久性、耐震性、バリアフリー対応、防犯性等良好な居住環境を備えたものとなるよう努めること。

 7 長期修繕計画の策定及び見直し等

 (中略)

管理組合は、維持修繕を円滑かつ適切に実施するため、開発、設計、施工及び維持管理等に関する図書等を保管することが重要である。また、この図書等について、マンションの区分所有者等の求めに応じ、適時閲覧できるように配慮することが望ましい。

なお、建築後相当の年数を経たマンションにおいては、長期修繕計画の検討を行う際には、必要に応じ、建物の再生及び建替えについても視野に入れて検討することが望ましい。建物の再生及び建替えの検討にあたっては、その過程をマンションの区分所有者等に周知させるなど透明性に配慮しつつ、各区分所有者等の意向を十分把握し、合意形成を図りながら進めることが必要である。

 8 大規模な修繕等に要する費用の資金計画等

大規模な修繕その他の対応による所要費用、改善効果等を客観的に把握し、その内容の妥当性等について比較、検討した上、適切な方法を選択するよう努める必要がある。

また、再生に必用な費用ついて、各区分所有者の衡平な費用分担に配慮するとともに、管理費又は修繕積立金の充当について、明確に取り決めを行うよう努める必要がある。

 9 団地における再生計画等

 (中略)

また、複合用途型マンションにあっては、住宅部分と非住宅部分との利害の調整を図り、その管理、費用負担等について適切な配慮をすることが重要である。

さらに、同一敷地に複数のマンションが存する場合において、一部のマンションを先行して再生工事を行う際には、当該マンションの再生計画のみならず、その他のマンションが同様の再生工事を行うことを仮定した場合の団地全体計画の構想を示しつつ、当該再生工事による影響の程度が容易に把握できるように努める必要がある。

三 マンションの管理の適正化の推進のためにマンションの区分所有者等が留意すべき基本的事項等

マンションを購入しようとする者は、マンションの管理の重要性を十分認識し、売買契約だけでなく、管理規約、使用細則、管理委託契約、長期修繕計画等管理に関する事項、住宅性能評価書等に十分に留意する必要がある。

 (中略)

専有部分の賃借人等の占有者は、建物又はその敷地若しくは附属施設の使用方法につき、マンションの区分所有者等が管理規約又は集会の決議に基づいて負う義務と同一の義務を負うことに十分に留意することが重要である。

さらに管理組合、管理会社、開発業者、建築、修繕など全てのマンションに関わる組織はこの構成員として専任のマンション管理士を置くことが望まれる。

四 マンションの管理の適正化の推進のための管理委託に関する基本的事項

 管理組合は、マンションの管理の主体は管理組合自身であることを認識したうえで、管理事務の全部又は一部を第三者に委託しようとする場合は、その委託内容を十分に検討し、書面をもって管理委託契約を締結することが重要であり、原則としてマンション標準管理委託契約書の内容に準拠した委託契約書を取り交わすことを基準とする。

  管理委託契約先を選定する場合には、(以下略)

  管理委託契約先が選定されたときは、(以下略)

  万一、マンション管理業者の業務に関して問題が生じた場合には、(以下略)

5 国は、マンション管理業及びその団体に対し管理委託上問題が生じないよう指導に努めなければならない。

五 (略)

六 国、地方公共団体及びマンション管理適正化推進センターの支援

 マンションの管理の適正化を推進するためには、(以下略)

 2 国及び地方公共団体は、マンションの建替えに関する窓口を整備するとともに、マンションの建替えに関する情報提供及び相談体制の整備に努めることとする。

3 国及び地方公共団体は、インターネットの活用等によってマンションの管理に関する専門的な知識の普及に努めることとする。

4 国及び地方公共団体は、管理組合が再生のための検討を円滑に行うことが可能となるよう、当該検討費用について必要な支援に努めること。

5 国及びマンション管理適正化推進センターは、マンションの修繕及び再生に関する技術の開発並びに普及に努めることとする。

6 国及び地方公共団体は、マンションの適切な修繕並びに再生に関する事業に対して、住宅金融公庫による管理組合に対する融資等、地方公共団体による管理組合に対する助成、税制特例等の資金面での総合的な支援並びに技術的援助に努めることとする。

7 管理組合間の情報交換と水準向上のために、地方公共団体は地域ネットワーク及びネットワーク作りを支援することとする。

  地方公共団体は、(以下略)

  マンション管理適正化推進センターにおいては、(以下略)

 

以上

 

 

日本マンション学会行政取組み研究委員会

            ワーキング部会

 

                     主 査  山 本 育 三

                          磯 野 重三郎

                          太 田 多圭子

                          河 村 喜 廣

                          坪 内 真 紀

                          冨 田 路 昜